[神経幹細胞]光で制御 京大、マウスで増殖・分化 <毎日新聞 11月1日(金)12時27分配信>
京都大ウイルス研究所の影山龍一郎教授(分子生物学)らの研究グループは10月31日、光の照射によって、マウスの神経幹細胞の自己増殖や分化を人工的に制御する技術を開発したと発表した。脳内細胞などの再生医療への応用が期待されるという。1日付の米国科学誌「サイエンス」オンライン版に掲載された。 神経幹細胞は胎児期に脳の神経細胞を作り出す働きがある。研究グループは、神経幹細胞が自己増殖したり、ニューロンなど脳を構成する主要な細胞に分化したりする際に重要な働きをする3種類のたんぱく質に着目。胎児のマウスの神経幹細胞を使った実験で、自己増殖する場合や、分化する細胞の種類によって、3種類のたんぱく質の増減に特定のパターンがあることを突き止めた。 さらに、神経幹細胞に青色光を周期的に照射することで特定のたんぱく質の量が増える仕組みを作り、実験を繰り返した。その結果、3時間周期なら自己増殖が促進され、30分周期なら細胞への分化に誘導できるなど神経幹細胞の増殖・分化を人為的にコントロールする技術を確立した。 影山教授は「成人の脳内の神経幹細胞は休眠状態にあるとされるが、この方法を応用して活性化させることができれば、アルツハイマー病やうつ病などの治療につながる可能性がある」としている。【堀智行】 |
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