内閣府部会:「配慮なし」も障害者差別 提言骨子案 <2012年09月11日>
障害を理由とした差別の解消を目指す障害者差別禁止法案について、内閣府の部会は10日、差別防止を国の責務とし、障害に応じた配慮をしないことも差別とする提言の骨子案を固めた。何が差別かの基準となり、障害者が差別から身を守ったり損害回復を求めたりする法的根拠となる。政府が目指す国連障害者権利条約の批准に向けた国内法整備の一環で、法案は提言を参考に内閣府が作成し、来年の通常国会に提出する。 骨子案は14日の内閣府障害者政策委員会の差別禁止部会でまとめる。差別について▽障害を理由に障害のない人と違う扱いをする▽平等な待遇や機会をもうけるための障害に応じた配慮をしない−−などと定義。配慮のための費用は企業など配慮する側が負担する。 配慮については▽スロープ設置▽視覚障害の従業員のパソコンに音声読み上げソフトを導入▽発達障害者がパニックになった場合に備え避難所的な空間を用意−−などを例示。行き過ぎた負担は求めないとしており、判断基準となるガイドラインを政府で作成する。 このほか、裁判とは別に、迅速に争いを解決する調停や裁定の仕組みを中央と地方に設けるべきだとした。国の責務として▽不利益を受けやすい障害女性の実態調査▽資格の取得などを制限する既存の法律の欠格条項の検証−−も盛り込んだ。 分野ごとでは、教育においては地域の学校への入学拒否や障害に応じた授業をしないのは原則差別にあたるとした。司法手続きでは捜査の聴取から服役まで全段階で、民事も含め、必要な配慮が全て求められるとした。 差別した人や企業に対する罰則はないが、損害賠償請求などの根拠法となる。【野倉恵、遠藤拓】 |
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