障害者、難しい災害対応 南相馬でNGOが調査 <河北新報 2011年08月31日水曜日>
障害者団体で組織するNGO(非政府組織)日本障害フォーラム(JDF)の「被災地障害者支援センターふくしま」は30日までに、南相馬市で行った「緊急避難時における要援護者」の調査結果を公表した。
福島第1原発事故によって緊急時避難準備区域になった原町区と区域外の鹿島区には、調査時点でなお障害者492人が居住。このうち346人は一度避難したが、生活環境や介護の問題から平均3週間程度で自宅に戻ったといい、障害者の災害対応の難しさが浮き彫りとなった。 調査は65歳未満で身障者手帳や療育手帳を持つ1139人が対象。情報公開制度で市が公開した名簿を元に4〜8月、JDF職員らが聞き取り調査を行った。警戒区域に指定されている小高区は対象外。時間の経過などから、事故後の行動が不明な障害者もいた。 調査結果によると、障害者492人のうち、108人は症状の重さなどを理由に一度も避難していなかった。「体を曲げられないので、床で寝られない」「薬の手配や透析が避難先でできるかどうか心配」など、生活や医療環境の変化を理由に挙げる人が多かった。知的障害のため、避難が必要かどうか本人が状況認識できないケースもあったという。 492人のうち、現在も緊急時の搬送や介助が必要なのは192人。避難した場合、避難先で支援が必要なのは340人だった。また、168人は緊急生活支援や継続的な支援を要望した。 被災地障害者支援センターふくしまによると、東日本大震災で被災した東北の太平洋沿岸の自治体のうち、これまでに障害者名簿を公開したのは南相馬市だけだという。センターは「障害者が避難できなかったということは、介助する家族も避難していないということで影響は大きい。行政と民間で要援護者の情報を共有し、避難支援の計画を具体化すべきだ」と話している。 |
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