パーキンソン病・心不全・脊髄損傷…再生医療 広がり期待 <2014年9月13日 読売新聞>
iPS細胞を使った治療は、加齢黄斑変性以外にも、様々な病気で期待される。「来年には臨床研究を申請し、承諾が得られ次第、スタートさせたい。その1年先には手術をする」。高橋リーダーの夫でもある京都大の高橋淳教授は12日、記者会見でiPS細胞から神経細胞を作りパーキンソン病患者の脳に移植する治療への意気込みを語った。 大阪大の澤芳樹教授は2016年度以降に心不全の患者の心臓にiPS細胞由来の心筋細胞のシートを貼りつける研究を計画。慶応大の岡野栄之教授らも17年度以降、事故で脊髄損傷を負った患者にiPS細胞から作った神経幹細胞を移植する研究を予定している。ただ、少数の細胞を移植すればよく、比較的簡単な加齢黄斑変性の治療に比べ、ほかの病気はハードルが高い。加齢黄斑変性では、iPS細胞から作る細胞が数万個だったのに対し、心不全の場合、その1万倍以上の細胞が必要だ。各研究チームは効率的に細胞を培養する技術の改良を続けている。複雑な構造をした腎臓や肝臓をiPS細胞から作るのはより難しい。 薬の開発や病気の仕組み解明などでも、応用が有望視されている。京都大や慶応大の研究チームは、アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者の細胞からiPS細胞を作り、病気を再現することに成功、治療薬の候補物質も発見した。厚生労働省などは、iPS細胞から作った心臓の筋肉の細胞に薬を投与し、心臓への副作用を発見する手法の確立を目指す。 |
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