障害者新法の提言案を了承−総合福祉部会 <医療介護CBニュース 8月30日(火)22時23分>
内閣府の「障がい者制度改革推進会議」の総合福祉部会(部会長=佐藤久夫・日本社会事業大教授)は8月30日、障害者自立支援法に代わる新法「障害者総合福祉法」(仮称)に関する提言案を了承した。今後は、この日の会合で出された委員の意見を踏まえて提言を修正し、9月中にも上部組織の推進会議に報告する。
了承されたのは、これまでの会合で検討された「障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案」を部会長らが修正した「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言―新法の制定を目指して―」。 主な内容は、「障害者総合福祉法の骨格提言」や「関連する他の法律や分野との関係」など。 「障害者総合福祉法の骨格提言」では、「利用者負担」や「報酬と人材確保」などの項目ごとに提言が盛り込まれている。「利用者負担」では、前回会合までに示された素案で、障害に伴って必要になる支援を原則無償とすべきとしていた内容に、高所得者に対し、収入に応じた負担を求めることを追記した。さらに、自立支援医療の利用者が低所得者の場合は全額公費負担とする部分は削除した。 また、「報酬と人材確保」では、障害者福祉の従事者の年収水準を国家公務員の「福祉職俸給表」と同程度にするよう提案していたが、「福祉職の給与を法外に上げるよう求めていると誤解を受ける可能性がある」(尾上浩二・障害者インターナショナル日本会議事務局長)ことから、この提案を削除。少なくとも全国平均賃金以下にならないよう「事業者が適切な水準の賃金を支払う」ことと、「事業報酬体系を法的に構築する」ことを実現すべきとしている。 さらに、「選択と決定(支給決定)」では、障害福祉サービスの支給決定に現行の障害程度区分を使わず、障害者本人が策定したサービス利用計画を、市町村が支援ガイドラインに基づいたアセスメント(評価)を行うなどとしていた素案の内容に言及。提言では、素案で示していた支給決定の仕組みについて、「試行事業を実施し、その検証結果を踏まえ、導入をはかる」と追記した。
■介護保険は「選択・併用」から「従来支援の継続」に 素案で「障害者総合福祉法のサービスと介護保険のサービスを選択・併用できるようにする」としていた介護保険との関係については、法の目的や性格が異なり、別個に制度設計されるべきとの観点から削除された。代わって、介護保険サービスが支給される前から受けていた支援を「原則として継続して受けることができる」ことが盛り込まれた。
■難病などの検討会設置を提案 「関連する他の法律や分野との関係」では、医療分野について、障害者の高齢化に伴って医療的ケアの担い手を増やす必要があることを明記し、医療的ケアを行える介護職員の増員の必要性を強調した。 また、難病などに関する検討会を新設して、医療を受けながら地域生活を送れるように医療と就労分野の法令などについて検討すべきと追記した。
■提言取りまとめ後も会合開催を検討 この日の会合で内閣府の東俊裕・推進会議担当室長は、委員が今後も部会を開くよう求めている点について、「フォローアップ的な会合を開きたいが、(障害者総合福祉法案を策定する)厚労省と打ち合せをしないといけない」と述べ、次回会合の開催を検討していることを報告した。 |
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