介護報酬の地域区分見直し、7区分で合意- 介護給付費分科会 <2011年08月10日 22:05 CBニュース>
社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)は8月10日、現行5区分の介護報酬の地域区分を、国家公務員の地域手当に応じた7区分へと見直すことで合意した。まず介護報酬全体の水準を一定程度引き下げ、そこで捻出した財源を引き上げが必要な地域区分に配分する「財政中立」のスタンスで格差是正を図る。来年度の介護報酬改定に合わせて見直す。 厚労省が示した地域区分の見直し案によると、現行の5区分を国家公務員の地域手当に応じた7区分に改める。その際に、介護報酬の水準を一律に引き下げた上で、区分ごとの上乗せ割合を新たに設定する。具体的な引き下げ割合と上乗せ割合については、別に試算して今後検討するほか、報酬単価を算出するための人件費割合も、今秋公表予定の介護事業経営実態調査の結果を踏まえて検討する。 現行の地域区分は、市町村ごとに「特別区」「特甲地」「甲地」「乙地」「その他」の5区分に分かれており、各区分に15%から0%までが上乗せされている。さらに、それにサービスごとに決められた人件費割合を掛けることで報酬単価が算出される。 一方、国家公務員の地域手当は、最も高い「1級地」から最も低い「その他」までの7区分。昨年4月の本格導入に当たっては、給与水準を一律に4.8%引き下げた上で、各区分の上乗せ割合を18%から0%の範囲に設定した。 この見直し案に対し、山田和彦委員(全国老人保健施設協会会長)は、「現場が職員の処遇改善に努力している段階で、人件費相当分を引き下げるのはいかがなものか」と、報酬水準の引き下げに反対姿勢を示した。村上勝彦委員(全国老人福祉施設協議会総務・組織委員長)も、「(上乗せ割合が0%の)『その他』地域が90%以上ある。そこの事業所への影響が大きすぎる」と訴えた。 また、国家公務員の地域手当見直し時に給与水準が4.8%引き下げられたことから、複数の委員から「介護報酬が4.8%引き下げられるのではないか」と懸念の声が上がった。これに対し厚労省老健局の宇都宮啓老人保健課長は、「そもそも4.8%が前提ではない。国家公務員の地域手当と、介護保険の場合は数字は違う」とした。宮島俊彦老健局長も、「介護報酬の場合は、『その他』地域にたくさん事業所があるので、4.8%も下がらない。格差を是正するのだから、下げた分は上げるところに乗せるということ」と述べた。
■激変緩和措置の検討も このほか、田中滋委員(慶大大学院教授)は、7区分への見直しに伴う影響があるとして、「激変緩和措置を取るべき」と指摘。宇都宮課長は、「級地が3つ変わったり、それで(上乗せ割合の)パーセンテージが大きく変わったりすると、利用者や事業者に影響があると思う。何らかの方法で緩和するのは十分あり得る話」と述べた。 |
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